【Kantele Column】『カレワラ』の中のカンテレ
フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』は1800年代初頭、医師であり民俗学者であったエリアス・ロンルート(Elias Lönnrot)が、フィンランド各地に伝えられている詩歌を採取し、一貫性のある物語としてまとめたもの。神話的な存在として、当時フィンランド人の民族意識を高め多くの影響を与えました。ジャン・シベリウスやアクセリ・ガッレンカッレラといった芸術家たちも、『カレワラ』を題材とした多くの作品を残しています。

『カレワラ』の中では老賢者ヴァイナモイネンによって、まず大カマスの顎骨を枠にして作られますが、これはサンポ戦争の際に湖に沈められてしまいます。その後、自らの悲劇を嘆く白樺の木を枠に、恋人を想って詠う乙女の髪を弦にし、ヴァイナモイネンの手で改めて製作されます。新しいカンテレが完成し、ヴァイナモイネンが奏でると人、動物、植物、天地すらもその音に聴き入ったといいます。

カレワラの詩は常に3音?5音のごく簡素な単声で歌われます。今でも、昔から伝わる"カレワラのメロディ"にあわせカンテレ伴奏のもと歌われています。

エリアス・ロンルートが最初の旅でカレリア地方のイロマンツィという町を訪れたとき、ロンルートはあることに気づき、こう書き記しています。
"Kantele joka talon seinällä."
(ここではカンテレがすべての家の壁にある)

イロマンツィ町章イロマンツィはカレワラの詩がもっとも多く採取された町で、今でも町のシンボルとして3つのカンテレが用いられています。
イロマンツィにある"カレワラヴィレッジ"は、カレリア地方の伝統を今に伝える、村全体がアートミュージアムのような存在。毎年夏になると、村の娘たちによるカンテレコンサートが催されます。

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?『カレワラ』より

Kuuluvi sorea soitto,
kuului kuutehen kylähän.
Eik' ollut sitä otusta,
ku ei tullut kuulemahan
tuota soittoa suloista,
kajahusta kanteloisen.

Mi oli metsän eläintä,
kyykistyivät kynsillehen
kanteloista kuulemahan,
iloa imehtimähän.
Ilman linnut lentäväiset
varvuille varustelihe,
veen kalaset kaikenlaiset
rantahan rakentelihe.
Matosetki maanalaiset
päälle mullan muuttelihe
-käänteleivät, kuuntelevat
tuota soittoa suloista,
kantelen iki-iloa,
Väinämoisen väännätystä.
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鳴り響く その美しい調べ
響き届く 6つの村へ
だれ一人聞きに来ない者はいない
森に生きる動物たちでさえ
鳴り響く その美しい調べを
響き渡る カンテレの音を

森に生きる動物たちさえ
その足元へうずくまる
鳴り響く カンテレを聴くために
その喜びを 讃えるために
空を飛び交う鳥たちさえ
小枝の上で待ち望む
水のあらゆる魚たちさえ
岸辺へと泳ぎ来る
地中に息する虫たちさえ
地表へと上がって来る
?誰もがその方に向き直り、聴き入る
鳴り響く その美しい調べに
カンテレの永遠のよろこびに
ヴァイナモイネン その方に

(訳:Mi)

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